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NISAシーズン到来?しかし利用増には制度変更が必要だ

   

地下鉄に乗ったら、野村証券の中吊り広告がありました。「今年のNISAは、今年だけ。」というキャッチコピー。NISAの駆け込み需要を狙っているのでしょう。

野村證券のNISA広告
出典 : 野村で「NISA(ニーサ)」

少額投資非課税制度(NISA)は、イギリスのISAを参考にしてつくられました。その本場のイギリスでは、年度の最終盤に「ISAシーズン」という積極的な広告活動期間があるそうです。以下の記事ですこし触れています。

参考 : 野村證券の「Nomura Fund 21」2014年10~11月号を読んだ

NISAの非課税枠は年間100万円までであり、使わなかった分は翌年に繰り越すことができません。口座を開いたものの使っていないという場合は、検討してみてはいかがでしょうか。

もちろん、投資方法やタイミングは人それぞれ。NISAは、それを使えば儲かるという制度ではなく、あくまで売却益や配当金などが非課税になるというだけの制度です。いわば、投資の「おまけ」です。

自分が買いたい銘柄がない、買いたいタイミングではないという場合は、使う必要はありません。「もったいないから、使わなきゃ」と焦らずに、投資におけるひとつの便利なツールという位置づけでうまく活用していきましょう。

NISAは使っていない人が多い?

日本経済新聞の「NISA非課税枠、『駆け込み投資』勧誘 証券や銀行」という記事によれば、NISA口座をもっている人の中で、実際に投資をした人の割合は3分の1くらいとのことです。

6月末時点の口座数は約727万件(金融庁調べ)だが、口座開設のみで実際には投資をしていないケースも多い。日本経済新聞社が実施した主要証券10社への聞き取り調査では、実際に投資をした人の割合である「口座稼働率」は9月末で約35%にとどまる。

NISA口座を開いたものの利用していない人が約65%いるということになります。

「もともと総合証券口座をもっていて、証券会社に強く勧誘されてNISA口座もつくったけど、結局使っていない」という人や、債券や公社債投信などのNISA対象外の商品をおもに取引している人もいるのかもしれません。

キャンペーンよりも制度変更が必要

しかしそれにしても、口座稼働率は低いですね。やはりNISA口座を「貯蓄から投資へ」という流れの起爆剤にするためには、より使いやすくなるように制度を変更することが必要だと思います。

NISAの対象である株式や株式型投信は、預貯金のような元本保証はないですし、ほかの金融商品にくらべてリスクが高い(値動きが大きい)です。

そのため、投資に慣れていない多くの国民がNISAを活用するときには、「長期投資」「分散投資」「低コスト」の3つがキーワードになると思います。

低コストのファンドによる長期分散投資であれば、大きな勝ちは期待できないかもしれませんが、ある程度リスクを抑えながら、インフレに負けない程度の期待リターンを見込むことはできます。

この3つのキーワードを実現するには、現行制度の「非課税期間が最長5年」「口座開設可能期間が2023年までの10年間」というのを変更して、無期限にするのがいちばんてっとり早いのではないでしょうか。

子ども版の「ジュニアNISA」の実現も視野に入れた検討がされているらしいですが、金融庁のまとめた平成27年度税制改正要望によると、非課税期間は現行のものと同じ最長5年となっています。

現行のNISA制度も、ジュニアNISAも、とても長期投資を前提としたつくりには感じられません。

同じく税制改正要望に盛りこまれている「年間投資上限額の120万円への引き上げ」も、利用者全体の金額を考えるとインパクトがあるかもしれませんが、本質はそれではないと思います。

もともと預貯金などにしか興味のない、株式投資などから遠い距離にいる人たちの参加をうながす仕組みや仕掛けを、もっとつくるべきなのではないでしょうか。

上記の日経の記事には、NISAでの投資をうながすためにおこなわれている、銀行や証券会社のキャンペーン内容についても書いてあります。

しかしそれは、もともと投資をやっているがNISA口座は使っていない、というひとには有効かもしれませんが、投資家の裾野拡大にはあまり役立たないはずです。

もちろんキャンペーンも無駄とは思いませんし、口座開設者のNISA活用をうながすことは大事だと思います。

しかし、ほかにもやるべきことがあります。金融業界が一体となって、投資とは縁遠い、でも投資が必要な層への呼びかけを継続的におこなっていくようになればいいなと思います。

 -NISA

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