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値幅制限のある株式

株式投資にはいろいろな決まりごとがあります。その中のひとつ、「値幅制限」についてお話しましょう。

今回も、あやしい物語でご説明します(笑)。

□ 株式サラリーマン劇場 ~値幅制限の話~

サラリーマンの石田 健太は大の株好きで、また、老後のために資産を増やそうという考えから、少ない給料のなかから毎月5万円ほどを株にあてていました。

世間が不況に喘いでいるなか、健太のつとめる会社もごたぶんにもれず、給料の割りには多忙な日々を送っていました。

そんな健太は、毎週日曜日、愛読している株のメールマガジンや、株式雑誌で紹介されている銘柄のなかから3・4つをしぼり、その企業の分析をし、気に入ったひとつに買い注文を出すというスタンスで株を楽しんでいました。

ある月曜日の夜。健太がいつものように、自分が注文を出している株が買えているのかチェックをするためにメールを見ると、約定(買えたということ)の知らせが届いていました。

「やったー!この株価で買えたのはラッキーだぞ」

健太は思い通りの株価で買えたことに喜び、そして、さっそく自分が売りたい株価で注文を出しました。このとき健太は浮かれて、自分のトレードはすでに成功したような気持ちでした。

しかし・・・。

その週の日曜日のことです。健太は注文を出していた株が売れたかどうかをチェックしていました。

「あれ~、売れてないのか」

株価は買い値(買ったときの株価)からほとんど動いていませんでした。

「まあ、いっか」

と、画面から目をはなそうとしたその瞬間、健太の目に信じられないものが飛び込んできました。

「 株式ニュース : おたべ商事 業績下方修正 」

ガ~ン!! 健太は絶句しました。持ち株に、悪材料(株価が下がるようなできごと)が出ていたのです。

しっかり調べたはずだったのに。。。

健太は自分のことをどう思ってるかは知りませんが、このときの健太はハッキリ言って、ほとんど株のことを知りませんでした。あきらかに勉強不足だったのです。

ショックを受けた健太は、しかしこうしてもいられない、と気を取り直して、すぐに状況を確認しました。

そして、さらに愕然としたのでした。

おたべ商事の掲示板はひどく荒れていました。これから暴落する、とか、株価が2分の1になる、などといった文言が飛びかっていました。

「うああ。。。」

あらゆる最悪の事態を想像して、健太はうなだれました。

株価が0円になっちゃったらどうしよう・・・。せっかくためたお金が・・・。

株の怖さを知った瞬間でした。健太は深いため息をつき、売り注文を出したのでした。

あくる朝。昨日の出来事で精神的に疲れたため、会社に休みをもらった健太は、株式市場がはじまる午前9時に、証券会社のホームページにアクセスしました。

そして、おたべ商事の株価をうす目を開けておそるおそる見てみました。

すると、なんと株価は、健太の予想よりもはるかに高い株価でとまっていました。そして、どうやらそれ以上は下がらないようでした。

「た、たすかった~!」

健太は、はぁ~っと安心のため息をつき、体から力が抜けていくのを感じました。

でも、なんでこの株価より下には下がらないんだろう?

そう思った健太は、証券会社のホームページを調べはじめました。そして、株には「値幅制限」という決まりごとがあることを知りました。

「そうだったのか! それで、おたべ商事はあれより下には下がらなかったのか」

健太はやっと、株の初心者から少しづつ、脱皮しはじめたのでした。

□ おわり

いや~、またしてもかなり長くなってしまいました。すみません。

しかも、これじゃあ全然、「値幅制限」というものがわからないですよね(汗)。というわけで、もう少し詳しいご説明をします。

株価は、需要と供給で決まります。つまり、買いたい人と売りたい人の数で株価が決まってくるんです(正確には、買いたい人の株数と売りたい人の株数です)。

上の例のように、企業にとって悪いニュースが出ると、その株を売りたい人の方が多くなるので、株価は当然さがります。

もしかしたら、買いたい人がほとんど居なくなって、売りたい人だらけになるかもしれません。

そうしたら、株価はどうなると思いますか?

当然、買いたい人がいないのだから、株価はいずれ1円もしなくなってしまうでしょう(いや、かなり極端に言ってます)。

でも、実際にそんなことが起きたら、投資家はやってられないですよね。よほど度胸のある人しか株をやらなくなってしまいます。

そしたら、市場に参加するお金が減って減って、えらいことになります(笑)。

そうならないために、この「値幅制限」ができたわけです。つまり、1日のあいだに株価が上下できる範囲を決めちゃったわけです。

これがあれば、たとえば、株価が2分の1になるような非常にインパクトのある悪いニュースが出たとしても、1日に下がる範囲は決まっているので、何日間かかけて株価は下がっていくのです。

そうすれば、その間に売ることができて、そこまで大きな損失にはならないということです。

「制限値幅」は、その前日の終値ごとにその範囲が決まっていて、下の表のようになっています。

ちなみに、「制限値幅」いっぱいに株価が動くことをストップ高(安)といいます。これから、けっこうひんぱんに目にすることになると思うので、ぜひ、覚えておいてください。

基準価格(前日の終値) 制限値幅
1 100円未満 30円
100円以上 200円未満 50円
200円以上 500円未満 80円
500円以上 1,000円未満 100円
1,000円以上 1,500円未満 200円
1,500円以上 2,000円未満 300円
2,000円以上 3,000円未満 400円
3,000円以上 5,000円未満 500円
5,000円以上 1万円未満 1,000円
1万円以上 2万円未満 2,000円
2万円以上 3万円未満 3,000円
3万円以上 5万円未満 4,000円
5万円以上 7万円未満 5,000円
7万円以上 10万円未満 1万円
10万円以上 15万円未満 2万円
15万円以上 20万円未満 3万円
20万円以上 30万円未満 4万円
30万円以上 50万円未満 5万円
50万円以上 100万円未満 10万円
100万円以上 150万円未満 20万円
150万円以上 200万円未満 30万円
200万円以上 300万円未満 40万円
300万円以上 500万円未満 50万円
500万円以上 1,000万円未満 100万円
1,000万円以上 1,500万円未満 200万円
1,500万円以上 2,000万円未満 300万円
2,000万円以上 3,000万円未満 400万円
3,000万円以上 5,000万円未満 500万円
5,000万円以上 1 1,000万円

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