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NISA口座の「金融機関の変更」と「再開設」 ポイントと注意点

   

注意点とポイント

少額投資非課税制度(NISA)が2014年にスタートしましたが、非課税投資枠が年間100万円と少ないこと、非課税期間が最長5年と短いことなど、不便な点が多い状態です。

しかし、改善する動きはでてきています。すでに決まっている変更点が、2015年から「NISA口座を開設する金融機関の変更」「NISA口座閉鎖(廃止)後の再開設」が可能になるということです。

ここでは、金融機関の変更と再開設について、それぞれ概要と手続きの流れを説明します。

金融機関変更と再開設のポイント

  • 所定の手続きをおこなうことで、NISA口座の金融機関を変更できる
  • 所定の手続きをおこなうことで、NISA口座を再開設できる
  • ただし、変更や再開設をしたい年に、すでにNISA口座で買付けをおこなっている場合、手続きはできない

NISA口座の金融機関変更の概要

NISA口座は、1人につき1つの金融機関でしか開設ができませんでした。そのため、同じ勘定設定期間内では、最初にNISA口座を開設した金融機関でしか取引ができないという状態でした。

しかし税制改正により、2015年からは同じ勘定設定期間内であっても、NISA口座を開設する金融機関を変更することができるようになります。

勘定設定期間とは

勘定設定期間とは、NISA口座を利用できる期間のことです。NISA口座は2014年~2023年までの10年間、開設できますが、それはさらに3つの勘定設定期間にわけられています。

NISAの勘定設定期間と基準日

ひとつの勘定設定期間につき、1度手続きをおこなえば、その期間内はNISA口座を利用できるという仕組みです。ちなみに、NISA口座開設に必要な住民票の写しは、基準日時点の住所がわかるものを用意する必要があります。

1年ごとに金融機関を変更できる

2014年までは、それぞれの勘定設定期間内に、1つの金融機関にしかNISA口座を開設できませんでした。しかし、2015年からは、同じ勘定設定期間内でも、1年ごとに金融機関を変更することができるようになります。

たとえば「2014年は大和証券にNISA口座を開設していたけど、2015年は野村證券にNISA口座を開設する」ということが可能になります。

手続きをおこなう期間

2015年に金融機関を変更する場合は、2015年1月1日から9月30日までに、所定の手続きをおこなう必要があります。

2016年以降は、前年の10月1日から、変更したい年の9月30日までに手続きをおこないます。たとえば2016年に変更したい場合は、2015年10月1日から2016年9月30日までに手続きをおこないます。

すでに取引していた場合、その年は変更できない

その年にすでにNISA口座での買付けをしていた場合、金融機関の変更はできません。金融機関を変更したい場合は、変更前の金融機関のNISA口座での買付けは控えましょう。

たとえば2015年2月1日に取引した場合、2015年中の変更はできません。10月1日以降に手続きをおこなうことで、2016年に変更することはできます。

変更前の金融機関の残高は移管できない

変更前の金融機関のNISA口座で買っていた株式や投資信託は、変更後の金融機関に移すことはできません

もし金融機関を変更したとしても、元の金融機関のNISA口座は廃止されません。預かり残高はその金融機関のNISA口座内に残り、買付けした年から5年目の年末までは売却益や配当金・分配金が非課税になります。

NISA口座の金融機関変更の流れ

  1. 変更前の金融機関 [A] に、「金融商品取引業者等変更届出書」を提出する
  2. [A] から「非課税管理勘定廃止通知書」を受け取る
  3. 新しくNISA口座を開設する金融機関 [B] に、「非課税管理勘定廃止通知書」と「非課税口座開設届出書」を提出する

※ 変更の手続きには、住民票の写しは必要ありません。

すでに2015年の変更予約を受け付けている金融機関もあります。手続きの詳細は、新しくNISA口座を開設する予定の金融機関、いまNISA口座を開設している金融機関に問い合わせてください。

再開設の概要

NISAは日本国内の居住者が対象なので、海外出張などによって居住者でなくなった場合に、NISA口座は閉鎖(廃止)されます

同じ勘定設定期間内では再開設はできないことになっていたため、帰国後にNISA口座で取引をしたくてもできず、つぎの勘定設定期間まで待たなければならないという状態でした。

しかし税制改正によって、同じ勘定設定期間内でも、再度NISA口座を開設することができるようになります。再開設は、元の金融機関、または別の金融機関でおこなうことができます。

再開設のポイントと注意点

  • 再開設したい年の、前年の10月1日から、その年の9月30日までに手続きが必要
  • NISA口座廃止時に課税口座(特定口座・一般口座)に移された預かり残高を、再開設後のNISA口座に移すことはできない
  • NISA口座での買付けがなければその年から、NISA口座での買付けがある場合は翌年から再開設できる
  • 2014年中にNISA口座を廃止した場合、手続きが通常のフローと異なる

再開設の流れ

出国やそのほかの理由でNISA口座を廃止する場合、金融機関に「非課税口座廃止届出書」を提出する必要があります。そのとき、金融機関から「非課税口座廃止通知書」を受け取ることができます。

※ 出国の場合は出国届出書を提出することで、「非課税口座廃止届出書」を提出したものとみなされます。

再開設をする場合は、希望する金融機関に「非課税口座開設届出書」と、NISA口座廃止時に受け取った「非課税口座廃止通知書」を提出します。

2014年中にNISA口座を廃止した場合

2014年中にNISA口座を廃止した場合は、手続きがすこし異なります。税制改正がおこなわれるのは2015年なので、2014年中に廃止したケースには適用されないからです。

2014年中にNISA口座を廃止した場合、金融機関から「非課税口座廃止通知書」を受け取ることができません。しかし、再開設することになった場合、「非課税口座廃止通知書」はかならず必要です。

そこで、「非課税口座廃止通知書」の交付を受けるために、廃止した金融機関に「非課税口座廃止通知書交付申請書」を提出します。そうすることで「非課税口座廃止通知書」を受け取ることができます。

受渡日には注意

以上が、NISA口座の「金融機関の変更」「再開設」の概要と手続き方法です。

さいごになりましたが、NISA口座の取引は「受渡日ベース」であることに注意しましょう。株式の売買は3営業日後(約定日を含めて4営業日目)の受渡し、投信は銘柄によって受渡日が異なります。

受渡日ベースで考えた場合、株式取引の年内最終の約定日は12月25日です(2014年の場合)。12月26日以降に約定した場合、2015年の受渡しになるので、2015年中のNISA口座の金融機関変更などができなくなります。

というわけで、受渡日にはくれぐれも注意しましょう。

 -NISA

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