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値動きの大きい「レバレッジ型ETF」と「インバース型ETF」の活用法と注意点

   

ETF

ハイリスク・ハイリターンの金融商品に投資したい。現物取引だけでは得られない大きなリターンを得たいけど、信用取引はやりたくない。長期投資よりも短期売買のほうが好きだ。

そんな投資家に人気のある金融商品が「レバレッジ型ETF」「インバース型ETF」です。対象とする指数の値動きの2倍の収益をめざすものがレバレッジ型、指数の反対の値動きに連動する収益をめざすのがインバース型です。

たとえばレバレッジ型の「NEXT FUNDS 日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信」[1570]は、日経平均がプラス1%になったとき、プラス2%になることを目指すETFです。

またインバース型の「NEXT FUNDS 日経平均インバース・インデックス連動型上場投信」[1571]は、日経平均がマイナス1%になったとき、プラス1%になることを目指すETFです。

対象の原指数を日経平均ではなくTOPIXとするものや、香港ハンセン指数とするもの、NYダウ関連の指数とするもの、原油や金など商品関連の指数とするものなど、いろいろなタイプのETFが上場されています。

ちなみにレバレッジ型を「ブル型」、インバース型を「ベア型」と呼ぶこともあります。

ETF市場を席巻するブル型・ベア型ETF

いま、これらのレバレッジ型・インバース型ETFの市場がとても熱いです。[1570]の2014年9月の売買代金はおよそ9887億円で、東証のETF売買代金ランキングの1位です。

この金額がどれほど大きいかは、同じく個別銘柄の9月の売買代金ランキングを見るとわかります。

  • 1位 ソフトバンク[9984] : およそ2兆8934億円
  • 2位 トヨタ自動車[7203] : およそ1兆3112億円
  • 3位 ソニー[6758] : およそ6755億円
  • 4位 みずほフィナンシャルグループ[8411] : およそ6089億円

つまり、日本を代表する企業であるソニーやみずほを上回り、さらに世界のトヨタに迫る勢いなのです。どれほど活発に売買されているかがわかりますよね。

ちなみにETFランキングには[1570]以外にも、およそ812億円の日経平均ブル2倍上場投信[1579]をはじめ、10位以内に4銘柄がランクインしています。ETF市場の上位10銘柄の半分をしめているのです。

そもそもETFとは

ETFとは、証券取引所(市場)で売買できる投資信託のことで、日本語でいえば「上場投資信託」です。「Exchange-Traded Fund」を略してETFと呼んでいます。

株価指数に連動するように運用される、いわゆる株価指数連動型のものが主流ですが、東証REIT指数(不動産投信)連動型のほか、商品ETF、海外株式・債券関連のETFなども登場するなど多様化しています。

最近はマーケットが急速なペースで拡大しており、2012年にはおよそ1兆8896億円だった年間の売買代金が、2013年はおよそ16兆円、2014年は9月末時点でおよそ20兆円となっています(内国ETFのみの数値)。

ちなみに現在の東証上場ETFの銘柄数は、外国ETF・ETNなどを含めて「181」です(2014年11月5日時点)。

レバレッジ型・インバース型ETFの活用法と注意点

レバレッジ型ETFは、先物・オプション取引などを活用して、対象とする指数の値動きの2倍の収益をめざすという商品なので、投機的な短期売買をおこなう場合に適しています。

信用取引口座をつくるのが面倒くさい、でもレバレッジを効かせた投資をおこないたい。そんな希望がある場合には、もってこいです。

インバース型ETFは、目先の株価が下落すると考えるときに有効です。相場に不透明感があり、先行きを見通しにくい状況で、保有資産のリスクヘッジとして活用するという方法もあります。

注意すべきこと

レバレッジ型ETFやインバース型ETFに投資するときには、以下の点に注意が必要です。

  • 利益だけでなく損失も2倍になる(2倍型の場合)
  • 目指すのは「日ごと」の値動きの2倍であり、2営業日以上はなれた期間の騰落率は目標値どおりにならない
  • 対象指数が上昇・下落を繰り返した場合(ジグザグに動いた場合)、マイナス方向へのブレが生じる可能性がある

2倍型のレバレッジ型ETFは、連続した2営業日のあいだで、対象指数(インデックス)の値動きの2倍になることを目指して運用されます。

つまり「日ごと」ではおおむね2倍の値動きになるものの、3日間、2週間、6ヶ月間などの期間保有した場合、目標値からのブレ(かい離)が生じて、想定どおりの成果は得られません。

そして「保有期間が長くなるほど」「レバレッジが大きいほど」このブレは大きくなります。これはダブルインバース型(マイナス2倍型)のETFにも同じことが言えます。

この件に関しては、楽天証券のサイト内での解説がわかりやすいと思います。図解による詳しい説明がありますので、ぜひ以下のページも見てください。

参考 : ブル・ベア型ファンド とは? | 特集 | 楽天証券

上記のページでは、ETFではなく「ブル・ベア型ファンド」についての解説がおこなわれていますが、ETFと通常の投資信託とのちがいは上場されているか、されていないかくらいのことなので、仕組みは同じです。

ブル型・ベア型ETFについてのまとめ

レバレッジ(ブル)型ETF、インバース(ベア)型ETFを活用するなら、投機的な短期売買に限定するのがオススメです。信託報酬もあるので、長期保有には向きません。

すぐに反対売買をおこなわない場合は、成果が目標値(たとえば2倍)どおりにならない可能性があることを理解したうえで保有しましょう。

一般的な投資信託やETFへの投資では、長期・分散投資が基本ですが、レバレッジ型・インバース型ETFの売買には、その基本はあてはまりません。別物だと割りきって付き合うのが良いと思います。

 -投資信託

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