日本で買えるバンガードETFとインデックスファンドまとめ
米国バンガード社の運用ファンドのなかで、日本国内で買えるものをまとめました。バンガードのETF、インデックスファンドに興味のある方はぜひ参考にしてください。
そもそもバンガードって?
バンガードとは、米国ペンシルバニア州に本社を置く投信会社です。運用ファンド数はミューチュアルファンドとETFをあわせて250本以上あり、運用資産総額は2.86兆ドル(約326兆円)にのぼります(2014年3月末現在)。
参考 : バンガード・インベストメンツ・ジャパン(日本法人)
その特徴は、運用ファンドの「エクスペンスレシオ」が非常に低いこと。エクスペンスレシオとは日本でいう「運用管理費用(信託報酬)」のことで、このコストが低ければ低いほど、投資家の実質リターンは高くなります。
下記のSBI証券のページによれば、バンガードETFの平均エクスペンスレシオは0.14%で、米国籍ETFの平均0.58%とくらべて圧倒的に低いとのこと。
バンガードはETFについては後発でありながら、米国籍ETF純資金流入ランキングにおいて、2010年、2011年に1位、2012年に2位になっています。2013年も9月末時点で1位をキープしており、純資産残高では3位です(2013年9月末現在)。
投資において期待リターンは不確実なもので、それを1%上げようと思えばかなりのリスクを取らなければなりません。しかしコストは確実なもので、比較・選別してコストを抑えることで、実質リターンを上げることができます。
コストの低いバンガードのETFが支持されるのは当然です。
バンガードのETF一覧
バンガードのETFでは、グローバル(全世界)を投資対象にしたものでは、基本的に「FTSEインデックス」をベンチマークに採用しています。
FTSEは世界の株式や債券の指数(インデックス)を作成、管理するイギリスの企業です。
日本では日本経済新聞社が「日経平均」というインデックスの構成銘柄を制定して、数値を算出、公表しています。FTSEはそれを世界規模でやっており、多くのファンドがベンチマークとしてつかっているということです。
ちなみに競合としては「MSCI」という企業があります。バンガードは以前はMSCIインデックスをベンチマークに採用していましたが、2012年ごろに経費削減などを理由にFTSEに変更しています。
FTSEとMSCIでは、先進国と新興国の区分のちがい、構成割合のちがいなどがあります。ファンドとしては、コストがより低く、市場とのかい離が少なくなるようなベンチマーク採用の判断をしているのだと思います。
以下、それぞれの投資対象ごとのETF一覧です。カッコ内はティッカー、コロンのあとは対象市場です。
グローバル株式
- バンガード・FTSE・ヨーロッパETF(VGK) : 欧州
- バンガード・FTSE・パシフィックETF(VPL) : 太平洋
- バンガード・FTSE・オールワールド(除く米国)スモールキャップETF(VSS) : グローバル(除く米国)
- バンガード・トータル・ワールド・ストックETF(VT) : グローバル
- バンガード・FTSE・エマージング・マーケッツETF(VWO) : 新興国
「バンガード・トータル・ワールド・ストックETF(VT)」は日本でもっともポピュラーなバンガードETFだと思います。
プロよりも投信事情に精通していそうな投信ブロガーの投票により選ばれる「投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year」において、2009、2012、2013と3度にわたり1位に選ばれています。
参考 : 投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year 2014
先進国や新興国、全世界の株式に投資するETFで、経費率(エクスペンスレシオ)は0.18%と圧巻の低さ。ETF純資産総額は36億ドルで、1ドル114円で計算すると、日本円で4104億円です(2014年9月30日現在)。
アメリカ株式を投資対象とした「バンガード・トータル・ストック・マーケットETF(VTI)」の457.6億ドルにくらべると低く感じますが、それでも大きな金額ですよね。
アメリカ株式
- バンガード・スモールキャップETF(VB)
- バンガード・米国増配株式ETF(VIG)
- バンガード・S&P500ETF(VOO)
- バンガード・トータル・ストック・マーケットETF(VTI)
- バンガード・米国バリューETF(VTV)
- バンガード・米国グロースETF(VUG)
- バンガード・米国高配当株式ETF(VYM)
アメリカ株式全部を対象にしたもの、小型株のみにしぼったもの、S&P500への連動を目指したもの、配当利回りは平均以上の実績を持つ銘柄にしぼったものなど、いくつかのETFがあります。
グローバル債券
- バンガード・トータル・インターナショナル債券ETF(米ドルヘッジあり)(BNDX) : グローバル(除く米国)
- バンガード・米ドル建て新興国政府債券ETF(VWOB) : 新興国
アメリカ以外の世界の債券市場へ投資するもの、新興国政府債券に投資するものの2つです。どちらも日本では使い勝手は良くないと思います。やはり世界の債券市場全体への投資ができるものが良いですね。
アメリカ債券
- バンガード・米国トータル債券市場ETF(BND)
アメリカの債券市場全体への投資ができるETFですが、日本でアメリカ債券にしぼって投資する人というのはあまりいないように思います。投資対象としては、先進国債券というくくりが一般的ではないでしょうか。
アジア株式
- バンガード・FTSE・アジア(除く日本)ETF(2805)
- バンガード・FTSE・アジア(除く日本)高配当株式ETF(3085)
日本以外のアジア市場全体へ投資するもの、その中で平均以上の配当利回りをだす銘柄へ投資するものの2つです。アジアだけを区切って投資する日本の投資家は少ないと思いますが、需要はあるのでしょうか。
中国株の比率がかなり高いようなので、中国全体とほかのアジア市場へ重点的に投資したい場合に良いのかもしれません。
バンガードのインデックスファンド一覧
ETF以外のバンガードの運用ファンドで、日本で買えるファンドは2つの「ファンド・オブ・ファンズ」と3つの「米国籍投資信託」の合計5本です。
米国籍投資信託についてはマネックス証券のみの取扱いですが、「バンガード・トータル・ストック・マーケット・インデックス・ファンド」「バンガード・スモール・キャップ・インデックス・ファンド」はETFに同内容のものがあります。
バランス型の「バンガード・ウェルズリー・インカム・ファンド」は60%以上を債券、残りを株式に投資するものです。
コストの仕組み(運用管理費用ではなく口座管理手数料)などから日本ではあまり馴染みがないように感じるのですが、いちおう販売は続けられているようです。
国内籍ファンド・オブ・ファンズ
日本国内で買えるバンガードのインデックスファンドは「セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド」と「三井住友・バンガード海外株式ファンド」の2つです。
「セゾン」については下記のページで詳しく解説しています。世界30ヶ国以上の株式と、10ヶ国以上の債券にそれぞれ半分ずつ投資し、構成割合は各国の時価総額ベースで決められています。
参考 : セゾン投信の評価と評判 ほったらかし国際分散投資の魅力
「三井住友」は日本を除く世界の株式市場全体へ実質的に投資するもので、基本配分比率は以下のようになっています。時価総額をもとに決めているとのことですが、新興国の比率が低く、アメリカとヨーロッパの比率が高いようです。
- 米国(グロース)
- 約32.5%
- 米国(バリュー)
- 約32.5%
- 欧州
- 約30.0%
- 新興国
- 約5.0%
実質の運用管理費用は年1.3305%(税込)。すこし高い印象ですね。これに投資するよりも、ほかのインデックスファンドを組み合わせたほうがコストは低くなりそうです。
国内株式については自分で個別銘柄投資をおこなっている場合、債券クラスについては別ファンドで運用している場合などに使いやすいかもしれません。
しかし運用管理費用が高いので、個人的にはメリットが見つけにくいファンドだと思います。
「セゾン」はセゾン投信のみの取扱い、「三井住友」はSMBC日興証券、東海東京証券、フィデリティ証券、楽天証券、マネックス証券などが販売会社となっています。
海外ETFの取引について
バンガードETFは、「海外ETF」の取扱いがある証券会社で購入できます。ネット証券ではSBI証券、楽天証券、マネックス証券などで海外ETFの取扱いがあり、バンガードのものも多くそろえています。
海外ETFの取引には「売買手数料」のほかに「為替手数料」がかかります。
売買手数料はだいたいどこでも1,000株までで27ドル(税込)ほどかかります。1ドル114円で計算すると日本円で3,078円です。11万4000円の取引で3,078円というのは、かなり高いですよね。
さらに為替手数料が1ドルあたり25銭(0.25円)ほどかかります。SBI証券ではFX取引をつかった為替手数料の節約などができるようですが、売買手数料が高いのであまり意味がありません。
そのため、毎月の積立てには向いていません。1,000株未満になる場合には購入せず、まとまったお金ができて1,000株以上の購入ができるようになったら、そのときに購入するというのが良いと思います。
海外ETFを取引する際には、手数料が高くかかるということを認識しておきましょう。
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