「毎月分配型?」「ファミリーファンド方式って何?」投資信託の分類まとめ
投資信託協会の公表している統計データによれば、2014年11月末の公募証券投信の数は5,366本です。このうち本当の意味で「資産運用に使えるファンド」は一握りだと思いますが、これだけ選択肢が多いと選び方に迷うことがあるでしょう。
実際のファンド選びにおいては「分散投資」「低コスト」「分配金が少ない」などの基準をもとに選別しますが、ここではファンドにはどのような分類があるのかをまとめておきます。
ファンドの分類を知ることによって、いま投資しているファンドがどのようなファンドなのか、これから投資しようとしているファンドの商品性はどうなのかということを理解する助けになるはずです。
投資対象による分類
投信の投資対象はさまざまです。国内外の株式、国内外の債券、国内外の不動産(REIT)、商品など多岐にわたります。
資産クラス(アセットクラス)によってリスクと期待リターンが異なりますし、同じ投資対象へ投資するファンドでも、ファンドごとに資産クラスの構成割合が異なります。
複数の資産クラスを組み合わせたファンドを「バランス型ファンド」「分散型ファンド」と呼びますが、それらにはあらかじめ定めた割合を維持する「リバランス」をおこなってくれるというメリットがあります。
一方で、固定された割合での投資になるため、リスク許容度や求めるリターンの違う投資家に一様にすすめられるものではありません。
バランス型ファンドに投資しながら、別の単一の資産クラスへ投資するファンドへの投資もおこなって、自分のリスク許容度などに合ったポートフォリオを実現するという方法もありますが、それならはじめから自分で組み合わせるのがベストです。
基本的には、バランス型ファンドへ投資するよりも、自分で単一の資産クラスのファンドを組み合わせたほうがコストもかかりません。
複数のファンドへの投資やリバランスが面倒だと感じる場合や、あまりファンドの選別に時間と手間をかけたくないという場合には、低コストのバランス型ファンドは良い選択肢だと思います。
運用方針による分類
運用方針による分類もあります。大きくわけて「インデックスファンド」「アクティブファンド」の2つです。
インデックスファンドは、株価指数などの市場平均に連動する成果をめざすファンド、アクティブファンドは、指数などのベンチマークを超える投資成績を目指すファンドです。
長期投資においては、その運用成果の9割にアセットアロケーションが関係しているという研究結果が発表されており、比較的コストの高いアクティブファンドに積極的に投資するメリットがあるのかどうかはわかりません。
しかし、アクティブファンドにも低コストのものはありますし、複数年にわたって高い投資成績を残しているものもあるかもしれません。
それが将来の結果を示唆するとはかぎりませんが、最初からインデックスファンドだけに絞るということはしないのも、ひとつの手段だと思います。
分配方針や購入方法による分類
投信から生まれる利益のひとつ「分配金」。その分配方針による分類もあります。分配金が出るのが年1回だけのファンド、年2回のもの、四半期ごとに出るもの、隔月ペースで出るもの、毎月出るものなどいろいろです。
特に高齢者に人気の「毎月分配型ファンド」は、資産形成を目的としてファンドを活用する場合にはオススメしません。分配されるたびに課税されますし、その分を再投資して複利効果をもとめるファンドのほうが適しているからです。
長期投資にオススメなのは分配金を出すのが年1回のファンドです。それも分配金を受け取るのではなく、再投資するのがより効果的です。
購入方法による分類もあります。「追加型」のものは当初募集期間が終了したあと、継続募集期間があります。つまり、いつでも買ったり売ったりすることができます。
しかし「単位型」のものは、当初募集期間にしか購入ができません。それを過ぎると購入はできず、もし売却してしまった場合は買い戻しすることができませんので注意が必要です。
ファミリーファンド方式とファンド・オブ・ファンズ
ファンドの運用方法による分類と言って良いのかわかりませんが、よく目論見書などで見かける「ファミリーファンド方式」と「ファンド・オブ・ファンズ」について簡単に説明します。
どちらもファンドに投資するファンドなのですが、ファミリーファンド方式は同じ運用会社のファンドへ投資するもの、ファンド・オブ・ファンズは別の運用会社のファンドへ投資するものという区別があります。
ファミリーファンド方式では、株式や債券へ投資する「マザーファンド」と、そのマザーファンドに投資する「ベビーファンド」のうち、投資家はベビーファンドへ投資します。
運用会社としては、1つのマザーファンドを設定・運用するだけで、あとは複数のマザーファンドを組み合わせたり、その構成割合を変更したりすることで、いくつも別のベビーファンドを設定・運用できるという運営上のメリットがあります。
ファンド・オブ・ファンズへの投資で気をつけたいのは、運用管理費用(信託報酬)の表記についてです。
目論見書などには、そのファンドへの投資だけにかかる信託報酬と、ファンドの投資先のファンドのコストもふくめた実質的な信託報酬の2つが併記されているので、かならず確認するようにしましょう。
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